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機械換気の一種と三種はどっちが良い?【二種換気が採用されない理由】

kentikun
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このブログは、

注文住宅の会社に勤めるサラリーマン建築士の「けんちくん」が、17年の実務経験を基に、家づくりのいろんな疑問にお答えする。

そんなブログになっています。

住宅には室内の空気が2時間に1回入れ替わるように24時間換気の導入が義務付けられています。

換気の主な目的は、汚れた室内空気を新鮮な外気と入れ替えることです。

機械換気には種類があり、

  1. 第一種機械換気
  2. 第二種機械換気
  3. 第三種機械換気

上記3種類から換気方法を選択します。

家づくり情報を発信している人たちは口を揃えて第一種機械換気(熱交換)を勧めていて、一部の人は第一種機械換気以外あり得ないくらいのことを言ってる人もいます。

調べれば調べるほど悩ましいのが換気システムというものです。

今回はそんな新築住宅の換気のお話です。ぜひ最後までお付き合いください。

24時間機械換気の種類と特徴

  1. 給気・排気、どちらも機械で全自動に換気してくれる第一種機械換気
  2. 給気は機械で、排気は排気口から自然に排気される第二種機械換気
  3. 排気は機械で、給気は給気口から自然に給気される第三種機械換気

ここからは、一種換気・二種換気・三種換気と表記します。

機械換気の特徴でよく聞くワードが「正圧・負圧」です。

正圧と負圧|換気による家の内外圧力差

家の「中と外」の圧力差を示す言葉なのですが、言葉の意味が分からず、正圧・負圧だから何なのか想像しにくいですよね。

室内において、

入ってくる空気量の方が多いと正圧・出ていく量の多い方が負圧

と表現します。

  • 正圧=入ってくる量>出ていく量(正圧=給気>排気)
  • 負圧=出ていく量>入ってくる量(負圧=排気>給気)

二種換気は給気ファンで強制的に給気するので「給気量>排気量」となり、室内の圧力が高くなるので正圧

三種換気は排気ファンで強制的に室内空気を外に送り出すので「排気量>給気量」となり、室内の圧力が低くなるから負圧

一種換気は給気も排気も機械で流量を調整できるので、給気量や排気量の調整次第で正圧にも負圧のどちらもできます。

住宅で採用される換気システムは一種換気or三種換気が多く、二種換気を採用するビルダーはごくごく少数派です。

室内を正圧にする「第二種機械換気」は内部結露のリスクあり!

壁の内部で結露する内部結露(壁体内結露)は室内を正圧にする二種換気を採用するとリスクが高まります。

強制的に給気をするシステムである二種換気は、排気が追いつかない状態になるので、家中にあるどこかしらの隙間が排気口替わりになってしまいます。

家の中の空気は、煮炊き・洗濯などによって湿度が含まれているので、その湿気を含んだ空気が壁の中に流入すると内部結露につながります。

ガラスに息を吹きかけると表面が曇るのからお分かりの通り、人間の呼気にも水分は含まれているので、家の中に人がいるだけで湿度は上がるということが分かると思います。

どんなに気密の良い住宅でも、必ずどこかには空気が通ってしまう場所は生じてしまうものですから、内部結露のことを考えると二種換気は控えるべきと思います。

「外の汚染空気を室内に入れたくない」

という理由で二種換気を採用しているビルダーを見かけますが、汚染された空気を気にしていたら安心して外に出られませんね。。

一種換気・三種換気の違い

まずはそれぞれのメリット・デメリットから。

一種換気のメリット・デメリット

一種換気のメリット

熱交換で冷暖房のランニングコストが抑えられる

一種換気は給気と排気を熱交換するタイプが一般的でこれが大きなメリットです。

室温20℃の排気・外気0℃の給気、これが第三種換気ならダイレクトに0℃の空気が室内に入ってきますが、一種換気(熱交換)で熱交換効率80%なら、給気温度は16℃になります。

夏場のエアコン使用時は逆の熱交換になり、冷房した20℃の室温と外気の30℃の場合、給気温度は22℃になります。

ランニングコストが抑えられる・室内環境をより快適にしてくれるのが一種換気で、それを採用しないのはあり得ない、といったところです。

このメリットを考えると一種換気を進める理由はよく分かりますね。

一方、一種換気のデメリットがこちら。

一種換気のデメリット
  1. 年に数回程度のフィルター清掃が必須
  2. 設備導入費用(イニシャルコスト)が高い

一種換気でフィルター清掃を怠ると悲惨です。埃でびっしりだったり、虫の死骸がこびりついていたり。

私ズボラなタイプですって人にはまず向かないですね。

換気扇が目詰まりを起こしたり、機械なので万が一の故障もあります。その時は給気も排気も止まることになるので、高気密住宅ならほぼ無換気状態です。

自分が吐いた空気をもう一度吸って、の繰り返しで汚れた空気の中生活することになります。二酸化炭素濃度が高まり、気づいたときは頭痛やらで症状として現れるときです。

また一種・二種・三種の中で圧倒的に費用が高いのが一種換気です。

まず換気扇本体の価格もそうだし、二種・三種の場合は給気or排気のいずれかの配管工事だけで住むところ、一種換気は給気も排気もどちらも配管が必要になるので、工事費としては単純に倍必要な計算です。

個人的には一種換気は換気扇の本体も高いし、メンテも必要になるし、機械が壊れた時もまた高額な費用がかかるから、みんなが前向きに考えるようなものではないと思っています。

これと似たような話が、大人気のタンクレストイレ。数年後にモーター交換でびっくりするくらいの出費がかかって、タンクレストイレを採用したことを後悔した人は案外多いものです。

合わせて読みたい
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三種換気のメリット・デメリット

三種換気のメリットとデメリット

メリット

  • 一種と比べ工事費が安い
  • メンテナンス頻度が少ない

デメリット

  • 外気温の影響をもろに受ける 

冬場、給気口の直下は冷気が降りてきて肌寒い、なんてこともあります。

給気口直下にパネルヒーターを設けて、冷気の下降(ドラフト)を抑えてあげることで対策できますね。

まとめ|第一種と第三種、採用するのはどちらが良いか

今回のまとめ
  • 24時間換気は一種・二種・三種の3種類
  • 二種は内部結露のリスクから住宅ではほぼ不採用
  • 多くの人は一種換気は不向き、三種換気の採用が無難
  • 性能・室内環境へのこだわり強めな人は一種換気

個人的には、初期費用・日常のメンテナンス・機械の更新などを考えると

一般的には三種換気が良いと思います。

一種換気はこまめにフィルター清掃をできる人じゃないと採用すべきではありません。

一種・三種で悩んでる人はこの動画も参考になるかもしれません。

参考になれば幸いです。

ABOUT ME
けんちくん
けんちくん
実務経験16年の建築士
はじめまして。建築士の「けんちくん」といいます。

2006年から注文住宅の会社に勤めていて、実務では「設計・営業・現場監督」をしています。

仕事として家づくりに携わっているので頻繁に家づくりの相談を受けています。

マイナー資格ではありますが、高気密高断熱の設計・施工に特化した「BIS-Master」です。

そんな業界歴16年の僕が運営しております。

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