土地込4000万円以下の新築住宅【家づくりコストダウンの方法7選】
このブログは、
注文住宅の会社に勤めるサラリーマン建築士の「けんちくん」が、17年の実務経験を基に、家づくりのいろんな疑問にお答えする。
そんなブログになっています。
住宅ローンの借入金額が4000万円とした場合、月々の返済額はおよそ11万円〜12万円程度になります。(住宅ローンの商品によって適用金利が変わり、それによって返済額も変動します。)
月々の返済額で考えると4000万円くらいが限界かな。
という人は少なくないと思います。
年収500万円の人が住宅ローンを利用する場合、毎月の返済や今後の生活費を考えると借入金額を4000万円前後に抑えておくのがベターだと思います。
いろんなハウスメーカーで話を聞いてみたけど、どうも4000万円以下は厳しそう。
2023年現在、物価の上昇や燃料費高騰によるコストUPの影響はどの業界にも起こっていることで、食品なんかでは毎月のように5%~10%価格が上昇していますよね。
住宅価格では金額が大きいだけに、5%~10%といっても数百万円のコストUPとなります。
どえらい時代ですね。一昔前は3000万円代で十分立派な家が建てられたのに、今では到底難しくなってしまいました。
消費増税の影響も大きいですね。ちょっと前は消費税が5%だったのに、今では10%ですから。
そんなことを嘆いてもどうにもならないので、今回は僕の17年の実務経験を基に、4000万円以下で注文住宅を建てる方法についてお話ししたいと思います。
- 4000万円以下でも注文住宅で建築可能
- ただし妥協しないといけない部分もある
- 4000万円以下で家を建てる具体的な方法7選
という内容でお話しさせていただきます。
費用を抑えた家づくりの方法が知りたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。
注文住宅の全国平均価格→4606万円(土地込)
国交省の「令和2年度 住宅市場動向調査」によると、注文住宅の住宅建築資金と土地購入資金を合算すると全国平均で4606万円だそうです。
住宅ローンでおおよそ借りることができる金額は年収の7~8倍と言われています。
30代後半の男性が平均年収500万円。マイホームを建てる人のボリュームゾーンが30代なので、多くの人は住宅ローンの借入金額は4000万円が上限だと思います。
ですが、それだと建設費用の全国平均4606万円には全然足りていないのです!
全国平均が4606万円でも、4000万円以下でも注文住宅は建てられます。
それでは詳しくお話ししていきます。
ちなみに、過去記事にこんなテーマでお話ししていますので、興味のある方はご覧ください。
土地込み4000万円以下でも注文住宅で建築可能
土地を含めてトータル4000万円以下で家を建てる場合、予算の内訳はざっくりこんな感じです。
- 土地代 700万~900万円
- 建物代 3000万円~3200万円
- 諸費用 100万円
ある程度限られた予算の中で家づくりする場合、どこに費用をいくらかけるかで家づくりの方向性は大きく変わります。
土地で住む場所が決まるので土地選びはとても重要ではあるものの、駅地物件・中心部の土地は、メチャクチャ高額です。
そんな高額な土地を買ってしまうと建物にかける費用がなくなってしまうと、建物の質を下げることになります。
建物の質が「狭い・暗い・暑い・寒い」など暮らしに直結しますからね。
不便な土地でも「住めば都」の可能性はありますが、質を下げた家の場合「住めば都」の可能性は極めて低いです。
妥協しないといけない部分もある
注文住宅ではやりたいこと全部を叶えようとしたら費用がどんどん膨らんでいくので、それなりに要望を絞り込まなければいけません。
とはいえ、妥協しまくりの家づくりほどつまらないものはありませんし、目先の費用を削減した結果、ランニングコストなど長期的に見て損をしてしまう可能性もあるので妥協にも注意が必要です。
妥協して良いものと、妥協してはいけないものがあります!
4000万円以下で家を建てる具体的な方法7選
- 郊外の土地を選ぶ
- 正方形or長方形の総2階建て
- 坪数小さく
- LDK+3部屋まで
- 間仕切壁・建具を少なく
- 水廻仕様はビルダー標準
- 外構は最低限
詳しく解説します。
郊外の土地を選ぶ
一般的に環境の良いと言われているところは土地代が高く、土地代だけで家が建てられてしまうような場所もあります。
土地込み4000万円以下に抑えるためには土地代はできるだけ抑えておきたいところです。
とはいえ、安い土地には安いなりの理由があり、購入したあとに思わぬ出費がかかるケースもあるので、注意が必要です。
- 旗竿地
- 軟弱地盤地域
- 高低差のある土地
- 下水道の引き込みなし→浄化槽設置の地域
上記のように費用が余計にかかる場合もあるので、ただ闇雲に安い土地を選ぶのは注意が必要です。
ビルダーが決まっていれば、土地探しを手伝ってもらえると安心ですよね。
正方形or長方形の総二階建て
家の形が建設費用の増減につながります。
建設費用がもっとも安くなる家の形状は「正方形or長方形の総2階建て」です。
総2階ての建設費用を安くなる理由は、基礎工事・屋根工事が少なくなるからです。
30坪の平屋建てと30坪の総2階建てを比べた場合、
- 30坪の平屋(30坪の1階建て)
- 30坪の総二階=1階15坪+2階15坪
平屋建ては「基礎・屋根」を30坪分造ることになりますが、総2階建ては「基礎・屋根」を平屋の半分の15坪分で良くなります。
ただし総2階建てにするのは、間取りの制約が伴います。
一般的な間取りは1階が大きくなりがちです。
1階:玄関・階段・LDK・トイレ・お風呂・脱衣室・洗面室
2階:寝室・子ども室×2程度
プライベートな部屋で構成される2階と比べ、玄関・LDKなど家族の共有空間になる1階の方がボリュームが大きくなります。
総2階建てにする場合は、2階に水廻りを配置するか、2階LDK(1階プライベート空間)などの間取りの制約が生じてきます。
坪数を小さく
坪数の増減がコストの増減にもっとも大きく直結します。坪単価70万円だったら3坪減らせば210万円削減できますからね。
狭すぎない程度の坪数の目安は
- 4人家族で30坪
- 3人家族で28坪
これより小さいとけっこう窮屈に感じてしまいそうです。
LDK+3部屋まで
両親や友達が泊まりにくるスペースを確保したいということで「リビングに隣接した1部屋」というのはよくある要望です。
リビングに隣接した小上がり和室。
子どもを遊ばせたり、来客用の就寝スペースも兼ねられるので、要望としてはとっても多いですね。
畳数にして6畳、坪数だと3坪分のスペースが必要で建設費用に置き換えると200万円です。
4人家族なら「寝室+子ども室×2」の3部屋とし、建物コストを削減するためには部屋数の制限も致し方ないところですね。
間仕切壁・建具を少なく
同じ坪数の家でも、間仕切壁や建具の枚数によって工事費は大きく変わります。
部屋を細かく仕切りすぎると壁を作る費用が多くかかってしまうのでコスト増です。
LDK内を区切ったり、ホール・階段・LDKを仕切りすぎたりするのは、高くなる要因になりますね。
部屋を仕切るほど圧迫感が出ます。
間仕切り壁をできるだけ少なくオープンな作りにすることで、視覚的な広さが生まれます。
水廻仕様はビルダー標準
水廻りの仕様は「お風呂はこれ、便器はこれ、キッチンはこれ」と、それぞれのビルダー毎に標準仕様として定めています。
標準的に採用している商品なので費用は同じグレードの他メーカーよりも安価な傾向があります。
水廻りの仕様によって金額が大きく変わり、デザインの違いやちょっとした機能の違いで簡単に数万円〜数十万円のコストUPします。
とはいえ、標準仕様の水廻りは良くも悪くも「シンプル仕様」が多く、各メーカーのショールームに行くとグレードUPしたくなるものです。
コストを抑えるにはビルダー標準仕様の水廻り機器を選択しつつ、こだわりたい部分だけグレードUPというのが良いでしょうね。
外構は最小限
見栄を張るほど外構工事の費用はかさんでいきます。カーポート・アスファルト舗装・塀、など少なく見積もっても100万~150万円。
土地込み4000万円以下となれば、外構に充てる費用は決して多くありません。
限られた予算での家づくりにおいて妥協は必至です。
だから外構工事は二の次三の次になるのは致し方ないところ。
外構工事よりも建物本体にコストを充てる方が家づくりの満足度が高くなるのは分かりきっていますよね。
ローコスト住宅は最終手段
建設費用を抑えようと、安易にローコスト住宅に走るのはNGです。
ただ安い家は、建物の質がそれなりに低い仕様になります。
安く家を建てるためには手間をかけていられませんからね。
無農薬野菜が普通の野菜よりも高くなってしまうのと同じように、性能の良い家というのは手間がかかってしまうのです。
ローコスト住宅で性能が疎かになってしまうのは致し方ないところなのです。
外装の維持費・光熱費などのランニングコストを比較すると、ローコスト住宅は目先の費用だけが安かったことに気がつくはずです。
以前、コストダウンの方法について詳しく解説しています。参考になれば幸いです。