【注文住宅の性能】新築一戸建て必須性能5選
注文住宅の設計・営業・現場監督をしている、けんちくんです。
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人間にとって一番大事なのが健康であるように、マイホームに一番大事なのは「性能」です。
- 美味しい物を好きなだけ食べることができるのも
- 行きたいところへ自由に行けるのも
- 仕事をしてお金を稼げるのも
すべて健康あってのこと。幸せな毎日を送るためには健康が大事です。
人間の健康こそが、マイホームで言うところの「性能」になります。
家の性能はざっくり次の5種類。
- 高気密性
- 高断熱性
- 耐震性
- 省エネルギー性
- メンテナンス性
1つ1つが重要な性能で5つ全部が合わさってパーフェクトな性能です。
断熱性能が低い家は寒くて不快な暮らしになっちゃうし、気密性能が低い家は湿気の影響で構造材が腐ってボロボロになっちゃいます。熊本地震では耐震性能の低い家がたくさん倒壊しましたね。
性能が悪ければ、せっかくのマイホームが台無しになりかねません。
とは言え、どの性能も大事と思う気持ち半分「そこまで必要かね?」と著者は思っています。
なぜなら性能UP=青天井にコストUPだからです。
- 日々の快適性に直結する「断熱性能」・「気密性能」は必須。
- 災害の多い日本で安心して暮らすのに「耐震性能」は必須。
- 年金が少なくなっていくだろうし少しでも「省エネ」であることに越したことはない
- 設備機器にも寿命があります。故障した時の「メンテナンス」だって考慮しなければいけません。
日本国内の道路を走るだけなら120km/hのエンジンで十分です。200km/hのエンジンはオーバースペックです。住宅屋の言いなりになると、300km/h・400km/hのエンジンを積まれてしまいます。
性能オタクの住宅屋はこう言います。
熱交換タイプの第一種機械換気を導入すべきですよ。
断熱材はもっと厚く入れるべきですよ。
もちろんアナタのことを思って高性能を薦めているとは思いますが、重要なのはアナタにとって必要かどうかです。
大は小を兼ねるとは言え大幅なオーバースペックは必要ありません。それに間違いなく予算オーバーします。
国内しか走らないのに、わざわざ高いお金を払って400km/hのエンジンは必要ありません。その分、良いタイヤにしたり、カーナビ付けたり、ドライブレコーダーを付けたりできますからね。
今回はそんな家の性能についてお話ししたいと思います。
性能オタクの住宅屋に騙されないように、これから家づくりを始める方はぜひ最後までお付き合い下さい。
快適な暮らしに欠かせない5つの住宅性能
冒頭で挙げたマイホームの5つの性能をもう1度。
- 高気密性
- 高断熱性
- 耐震性
- 省エネルギー性
- メンテナンス性
それぞれの性能をササッとお話しします。
欠かせない性能①|気密性能
「空気を密閉する」と書いて気密
暖房した空気が外に漏れ出たり、エアコンで冷やした空気がそのまま外に漏れ出たり。
家の中の空気が外に漏れ出ないように、逆に外の空気が家の中に侵入しないようにするのが気密性能です。まるでビニールハウスのような温室空間。
具体的には気密シートという防湿フィルムを使って家をスッポリ包み込むことで気密性能を確保します。これで隙間風が防げるわけですね。
隙間風が防げるし、粉塵・黄砂・PM2.5から室内の空気汚染を防いでくれます。
欠かせない性能②|断熱性能
「熱を断つ」と書いて断熱
断熱材が無い家は、熱を断つことができずに「暑い方から寒い方へ熱が移動」します。
つまり外気温の影響をモロに受けるんです。外が寒ければ家の中も寒くなり、外が暑ければ家の中も暑くなります。断熱性能が高ければ高いほど「外からの熱を断つことができる」ので、外気温の影響を受けにくくなります。
なので断熱性能が高い家は室内の温度がある程度一定に保ってくれるので一年中快適です。
外からの熱を断つことができるので、室温が一定に保たれます。
欠かせない性能③|耐震性能
「地震に耐える」と書いて耐震
地震大国ニッポン。これから起こる可能性の高いと言われている南海トラフ地震。すんごい甚大な被害が出ると予測されています。東日本大震災の何倍もの被害だそうですよ、コワイですね。
大地震で家が倒壊したら大変です。もし家の中に居たらペシャンコです。
耐震性能の高い家ほど大地震が起きても安心です。耐震性能を高めるには耐力壁を適切に配置したり、床の剛性を高めたりすることが肝心です。
地震や台風から家の倒壊・損傷を防いでくれます。
欠かせない性能④|省エネルギー性能
夏はエアコン、冬は暖房。家庭のエネルギー消費量のおよそ3割が暖冷房時に発生すると言われています。隙間風を防ぐ「気密性能」も大事だし、外からの熱を断つ「断熱性能」とも関わりがあります。
その他にも夏は家の中に入ってくる日射を遮ることで冷房エネルギーを抑えたり、逆に冬は家の中に日射を取り入れることで暖房エネルギーを抑えることができます。
他にも太陽光パネルとか地中熱を利用する省エネ(創エネ)方法もあったりします。
省エネルギー性能が高い家は、ランニングコストの節約に繋がります。暖房費含め光熱費で月5万円なんてことになったら毎月の家計がピンチですよね。
超高齢化社会で少子高齢化の今の日本、年金もいくら貰えるようになるか分かりませんからね。省エネルギー性能を高めてランニングコストを抑えることが、将来安心して暮らすコトに直結します。
太陽光パネルや地中熱を利用すると暖房や冷房の費用を抑えることができます。家庭のエネルギーの3割が暖冷房によるものですからね。
欠かせない性能⑤|メンテナンス性能
長く住み続けるとあちこち不具合が生じてきます。設備機器が壊れてきたりと、何かとメンテナンスが必要になるものです。
設備機器を交換する時に繋がっている配管を取り外す場合もあります。配管が隠蔽されたり、コンクリートに埋め込まさっていると、あちこち壊さないと配管の交換ができない場合もあります。
いざという時に余計な費用がかからないように、簡単に器具や配管を交換できる工夫が必要になります。
設備機器や配管の交換が楽になるし、余計な費用がかからなくなります。(ボイラーなんかの耐用年数はおよそ10年ほどと言われています。)
自分にあった性能の取捨選択を!
- 耐震性能も大事だけど、それ以上に断熱気密性能の方が大事だよ。
- 断熱気密性能も大事だけど、それ以上に耐震性能の方が大事だよ。
住宅屋さんの中でも意見が分かれるところ。どっちも大事は分かるけど予算オーバー必至。
定食屋の店主が「ウチはメニュー全てオススメでやらせてもらってます」なんて言われたって、全メニュー食べきれるわけがないし何より予算オーバー必至です。
とにかく建物性能を上げましょう!
安心して長く暮らせる家を提案するのがプロの仕事。
はい、予算オーバー。大事なことはあなたの優先順位です。
どこを優先して、どこを妥協するか。取捨選択が大事です。その為にはメリット・デメリットを知る必要があります。
耐震性能高い=間取の制約+コストUP
全ての性能を完璧にすると建設費用がとんでもなく高くなったり、間取りの制約も出てきます。
例えば、耐震性能を考えるときに
- 耐震等級1
- 耐震等級2
- 耐震等級3
数字が大きくなるほど耐震性能が高い家になりますが、耐震性能が高い家ほど建設費が高くなるし、間取りの制約があります。
耐震等級1から耐震等級2にすると、おそらく60~100万円コストアップ
ウチは耐震等級2が標準です。という建築屋さんも、60~100万円分の費用が含まれて標準という事です。
耐震性能を上げるには、耐力壁の長さやバランスを適切に配置したり、床の剛性(水平構面)を高める必要があります。
- 大きな窓が設けられなかったり
- チョコチョコ部屋を仕切る必要があったり
- 吹抜けを作ることができなかったり
耐震等級を上げると、希望していた間取りにならないこともあります。
・・・昔からの夢だったのに。
っと後悔することになるかもしれません。
それに「耐震等級1だからヤバい」というわけでもありません。耐震等級1でも、大地震が起こったときに避難できる時間が確保できるように定義されています。
「耐震等級1」
極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第 88 条第3項に定めるもの)に対して倒壊、崩壊等しない程度
引用元:日本住宅性能表示基準(国土交通省)
一般住宅の場合、簡易的なチェックで構造チェックすることが多いので(耐震等級1相当)大地震に見舞われたら修繕工事とかは必要になるかもですけどね。
熊本地震は震度7が2連続で起こり、その結果何棟も倒壊しています。
YouTubeとかインスタとか見てると「耐震等級1はヤバすぎる!」って言ってる人が結構いますね。
これは、軽自動車に乗る人はヤバイ!って言ってるようなもんです。
軽自動車で事故ったらペシャンコになって死んじゃう可能性が高いから、車体の強いベンツに乗るべきだ!って言ってるイメージです。
車買う前から事故ったこと考えてもね。
あぁぁぁ。
あなたは何を優先しますか?
- 間取りの制約・コストUPよりも、長く安心して暮らしたい
- 開放感、大きな窓、大きな吹き抜け、自由な間取りに暮らしたい
安心を買うか自由な間取りを選ぶか。何に重きを置くかで変わってきますね。
優先順位第1位は「耐震」or「断熱・気密」
と聞かれると「場合による」というのが無難な回答になるのですが、それじゃ納得してくれないですよね。
著者はこう考えています。
寒冷地(北海道・東北)
気密=断熱(=省エネ) > 耐震 >> メンテナンス
上記以外
耐震 > 気密=断熱(=省エネ) >> メンテナンス
一番に考えるのは「気密・断熱」と「耐震」
正直、省エネ・メンテを考えるのは二の次、三の次。
暮らしの安全性・快適性が高まるからね!
気密と断熱は表裏一体です。「高気密高断熱住宅」なんて言葉もあるくらいですからね。
高気密高断熱住宅は、外がどんなに寒くても外がどんなに暑くても、ストーブ・エアコンをちょっと付けるだけで、夏は涼しく冬は暖かい家になります。その結果、冷暖房費を削減できるので省エネにも繋がりますね。
また、気密・断熱性能の悪い家では、ヒートショックで人が亡くなったり、内部結露で家の寿命が短くなります。それが耐震性能にも影響を与えることになります。
気密・断熱と耐震のどちらが大事かは「人による」って感じです。カワイイ子が好きかキレイな子が好きか、ソース顔が好きか醤油顔が好きか、みたいなもんです。
考えるべきは暮らし方|どんな家にどう暮らす?
安くて広くて豪華な家。それに加えて暖かくて地震に強い、そんなマイホームこそが私たちの望む理想の家。でも予算の中でアレもコレも実現するのは難しい!
それに先ほどお話ししたように、耐震性能を上げるには色々制約があります。備えあれば憂いなしとは言え、限られた予算の中でどれを優先するかが大事ですね。
- 今の家が寒すぎるから暖かい家に住みたい
- 今の家が狭すぎるから広い家に住みたい
- 今の家が暗いから吹き抜けとか大きな窓が欲しい
- 今の家の光熱費が高すぎるから省エネの家に住みたい
- 被災した経験があるから安心できる家に住みたい
家に何を求めるかで優先順位が変わります。
快適な暮らしに欠かせない5つの住宅性能!まとめ
- 高気密性
- 高断熱性
- 耐震性
- 省エネルギー性
- メンテナンス性
どんなに素晴らしい間取りでも。どんなに安い家でも。どんなに広いリビングがあっても。しっかりした性能が無ければイイ家とは言えません。
- 断熱気密性能を向上させるのは日常の快適性を
- 耐震性能を向上させるのは安全性を
何を優先するかはあなた次第。
これが今回お伝えしたかったことです!
これからも後悔しない家づくりについて発信していきますので、見逃さないようにぜひブックマークよろしくお願いします♪
最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^