【家の断熱材|グラスウールは絶対にやめるべき】断熱性能と大工の技術|徹底解説
この記事はこんな僕が解説しています▼
- 2006年から注文住宅の会社に勤務
- 営業、設計、現場監督で現役サラリーマン建築士
- 土地探し、間取の作成、施工管理が主な実務
北海道で高気密高断熱住宅の設計・施工管理を行っています。詳しいプロフィールはこちらからご覧ください!
グラスウールには次の特徴があります。
- 断熱性能が良い。
- 圧他の断熱材よりも安い。
こうした特徴から僕はグラスウール賛成派です。
ところが住宅業界では「グラスウールを使ってはいけない!」と言ってるグラスウール反対派が一定数存在します。
まるでグラスウールが悪のような言われようですが、悪なのはグラスウールではなく住宅会社が悪です。
グラスウールは施工精度によっては性能が半減すると言われています。それこそがグラスウール反対派の人たちの主張です。
本記事ではグラスウールの性能面について掘り下げて解説します。
住宅会社選びの参考になると思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
高性能グラスウールを使ってるから暖かい→大ウソ
さぞ暖かい家なんだろうね
と思ってしまいそうですがこんな営業トークに騙されてはいけません。高性能グラスウールを使ったから暖かい家になるわけではありません!
これだけ聞くとグラスウールって断熱材として微妙かもと思ってしまいそうですね。
最初にお伝えしましたが、グラスウールはすんごい良い断熱材です。
グラスウールで断熱する場合に重要なのは施工レベルです。どうグラスウールを充填するかで性能に大きな差が生じてしまうのです。
断熱材の充填方法の違いで、断熱材が100%の効果を発揮することもあれば、半減してしまうこともあるんです。
断熱材の適切な施工方法を知らない人が断熱施工すると、
せっかくの高性能な断熱効果が半減して低性能な断熱性能になってしまいます。
ではいったい誰が断熱材を充填するかというと・・・
そうです。大工さんです。
断熱材が暖かい理由→魔法瓶と同じイメージ
まず始めに断熱材の基本から。
建築業界だと有名な話で、真空状態だと熱が伝わらないって言われています。僕は科学者じゃないのでちょっと原理はよく分からないのですが。。。すみません。
今は断熱性能の高い窓が普及しています。ペアガラスとかトリプルガラスとか。窓のフレームの高断熱化もありますが、もっとも大きいのはガラスの断熱性能が高まったというのが大きいです。
そしてこのガラスとガラスの間には乾燥空気が入っていて、その空気を真空状態にするのが高断熱サッシのポイントと言われています。
それが身近な物でいうと魔法瓶がこの構造に近くて
魔法瓶は内ビンと外ビンの二重構造になっていて、そこに空気が閉じ込められているから、冷たい飲み物はいつまでも冷たく、温かい飲み物はいつまでも温かくなっているんです。
グラスウールの原材料はガラス繊維で、ガラス繊維同士の隙間が真空状態の無数のポケットがあるので、熱を伝えにくくしている
・・・だそうです。すみません細かな原理とかはちょっと。。。(住宅屋なものですから悪しからず。)
【NGな施工方法】断熱性能が低下する充填方法
日本の8割以上の家が木造住宅です。
住宅屋さんとかハウスメーカーも木造を取り扱う会社が多いです。鉄筋コンクリート(RC)造とか鉄骨(S)造と比べてコスパも良いですからね。
木造住宅の断熱方法は一般的に、約45cm間隔に立つ柱・間柱の間に断熱材を充填していきます。
なんて呼ばれていますね。
断熱材の厚みは柱とか間柱の厚みと同じで10.5cmです。
最初にお伝えすると適切なグラスウールの充填方法は隙間なく充填することで、反対に断熱性能が低下する充填方法が隙間が生じた充填方法です。
充填方法によっては次のように断熱性能が低減します。
- 【性能33%減】断熱材に隙間がある
- 【性能54%低減】断熱材を押し込みすぎている
ちゃんとした大工さんがちゃんと施工すれば正しい充填方法になるのですが・・・。
なかなかいないもんなんですよね。
【性能33%減】断熱材に隙間がある
グラスウールと柱の間に隙間があるのは当然NGです。
断熱材があるから熱を遮ることができるのに、断熱材に隙間があれば室内の熱は逃げ放題で外からの冷気は入り放題ですよね。
断熱材の隙間を断熱欠損って言って、欠損があるとだ断熱性能が33%も低減してしまいます。
【性能54%低減】断熱材を押し込みすぎている
グラスウールをグイグイと押し込みすぎてしまうのは一番ダメな充填方法です。
このときの断熱性能は性能が54%も低減してしまいます。100mmのグラスウールを入れてるのに、実質46mm分の断熱効果しかありません。
「俺は腕のいい大工」って思い込んでるから困ったもんです。
グラスウールの規格サイズ外の場所が要注意!
上の図のように、木造住宅の構造上「柱・間柱」もしくは「間柱・間柱」が一般的なつくりになっています。
「柱・間柱」間の隙間は「380mm」となり「間柱・間柱」の隙間は「410mm」です。
骨組み間隔は、柱の中心~間柱の中心が455mm
- 柱は105mm×105mm
- 間柱は45mm×105mm
455mm-(52.5mm+22.5mm)=380mm
間柱同士が隣り合う場合は
455mm-(22.5mm+22.5mm)=410mm
この隙間に断熱材を充填していくのですが、断熱材メーカー各社の規格寸法はあらかじめ絶妙なサイズの幅にカットされています。
パラマウントガラス工業さんの公式サイトから画像を拝借して確認してみます▼
380mmの間に390mmの断熱材、410mmの間に425mmの断熱材。
ホントはカットしないで充填することができるんですが、現場ではどうしてもカットして使う部分が発生します。
断熱材をカットする場所→断熱欠損になりやすい場所
- 窓まわり
- 室内の隅っこ部分
- 土台と床梁、床梁と屋根梁(高さ方向)
これらは断熱欠損になりがちな場所です!
断熱性能にバラツキが出る3つの理由
ここから先は住宅業界の闇、というかローコスト住宅の闇の部分です。
「グラスウールを使ってはいけない」なんて言われている原因として次の3つがあります。
むしろ断熱材が悪いんじゃなくて、大工とか住宅会社が悪いんです。
- 住宅会社・現場監督の知識不足
- 大工の意識の低さ
- 工期・労務費が少ない
一つずつ解説します。
性能のバラツキ理由①|住宅会社・現場監督の知識不足
- 性能なんてどうでも良い!
- 性能に力を入れるなんて無意味!
- 何よりも安く売ることが正義!
そんな住宅屋は少なくありません。むしろ性能をおろそかにしている会社の方が多いと思っています。
断熱の知識も無ければ気密の知識も無い住宅屋が多く、知識が無いから断熱材なんて入ってれば良い程度のレベル。
と指摘できる現場監督がいないのと、年上大工にそこまで言えない弱い現場監督が多いんです。
性能のバラツキ理由②|大工の意識の低さ
とは言え、
断熱材を充填するのは大工さん!
現場監督に知識がなくても充填する大工さんにしっかりした断熱の知識があれば問題ありません。でも残念ながらそんな大工はいません。
と言う大工がほとんどです。
断熱材なんて、そんなレベルの低い大工が自分家を建ててるなんて思ったら、絶対にその家に住みたくないです。
魂は細部に宿る、なんて言う言葉もあるくらいですから、そんな意識の低い大工はこっちから願い下げですね。
なんて言われているのと同じで、大工さん自身が断熱性能の重要性を分かっているか分かっていないかで、断熱材の充填の仕方が変わってきます。
断熱材は0,45m間隔に1列断熱材を充填するので、家の外周が9.1m四方(5間×5間の家)だと80列になります。2階建てなら倍の160列です。
160列の断熱材に僅かな隙間が生じてしまえば、チリも積もって相当な隙間になります。いくら高性能グラスウールを使用しても隙間があれば断熱性能はガタ落ちです。
性能のバラツキ理由③|工期・労務費が少ない
大工さん自身が「断熱材は隙間無く密に入れるのが大事」という知識があるにも関わらず、断熱材がしっかり充填できないこともあります。
それが次の理由です。
- 現場の工期が極端に短い
- 大工の報酬が少ない
これらの場合は、断熱性能がおろそかになっていしまっている場合があります。
グラスウールを隙間なく充填しようと思うと手間と時間がかかります。でも工期が短ければ断熱材を丁寧に充填するほど時間をかけられません。
夕飯にかけられる時間が短いと、どこかで時間を調整せざるを得ないですよね。煮込み時間だったり、なんだったり。
家づくりの場合、グラスウールの充填は真っ先に時間短縮のターゲットになります。なぜなら石膏ボードを張ってしまえばグラスウールが隠れてしまうからです。
これでも断熱材が厚く入ってるから安心と思えますか?
また、大工さんに支払われる報酬によっても断熱材の施工レベルは影響されます。
報酬額を下げてその分棟数をたくさんあげるから、というやり方をする住宅屋がいます。むしろたくさんいます。
コストが厳しいお客さんなのさ。その代わり棟数たくさんあげるからね!
薄利多売のローコスト住宅にありがちなやつです。
同じ年収600万円でも
- 年間6棟建てて年収600万円
- 年間10棟建て600万円
報酬が少なくなればたくさん家を建てないといけなくなると、本来時間をかけて作業しないといけない部分の手間を省きます。
事前に断熱性能を見極める方法
これは安心できないって思ってきましたでしょ。
とはいえ、前もってしっかり施工してくれそうな住宅会社を知るのって難しいですよね。
ビルダーを選んでるタイミングで、ちょっと断熱材を充填してみてくれよ。なんて断熱材を充填するデモンストレーションなんてしてくれないですもんね。
100%じゃないにしても、おそらくここはしっかり施工してくれるだろうという住宅会社を見極めるポイントを解説して終わりたいと思います。
- 知識のある技術者が施工している(社員大工or専属大工がベスト)
- 技術的な知識のある営業マン(良い物使ってるから!はNG)
知識のある技術者が施工している(社員大工or専属大工がベスト)
現場監督しかり大工さんしかり。現場に携わる技術者に断熱の知識が備わっているほど安心できます。
「断熱材の施工のポイント=隙間なく密に入れること」
これが基本なのにその基本ができていない住宅屋が多いです。できれば大工さんは社員大工か専属大工さんがオススメです。
あなたの家の大工さん、今回初めてお願いする大工さんです~
我が家の大工が、こんな大工なら絶対にイヤですよね。
専属大工とか自社大工は、自社の工事しかしていません。これらの大工さんは普段からしっかり施工している住宅会社が多い印象です。
ぜったい大丈夫!ってわけじゃないけど、どんな大工が来るか分からない現場よりは遥かに安心できます!
技術的な知識のある営業マン(高性能断熱材だから安心はダメ)
この一言を言ってきた時点で、営業マンのレベルが分かります。ここまで読んでくれた方なら、きっともう大丈夫ですよね。
【番外編】外皮平均熱貫流率(Ua値)もアテにならん
住宅内部から床・壁・屋根・開口部を透過して外に逃げる熱量を外皮全体で平均した値、それが外皮平均熱貫流率(Ua値)と言います。
Ua値は地域によって異なり、寒い地域ほど求められるUa値は低くなります。(高い断熱性能が求められます)
H28省エネ基準のUa値(W/m2K)です。
1・2地域 | 0,46W/m2K |
---|---|
3地域 | 0,56W/m2K |
4地域 | 0,75W/m2K |
5・6・7地域 | 0,87W/m2K |
8地域 | ー |
住んでる地域区分はこちらからご確認ください。(地域区分新旧表 国土交通省)
言ってこれは事務所の机で計算した、ただの計算値です。
この断熱材を使ったらUa値は〇〇。みたいな感じでただパソコン上で出てきた数字でしかありません。
実際に現場で大工さんが断熱材をしっかり充填していなければ、この数値の家にはなっていません。
大工の技術とかについては何も言われていませんよね。
グラスウールはやめるべき!のまとめ
僕はグラスウールはオススメしています。
グラスウールはちゃんとした大工さんが、ちゃんと施工すればとてもコスパの良い断熱材です。
グラスウールをちゃんと施工する会社に悪い会社はありません。
むしろ表向きは良さそうに見えてもグラスウールの充填方法がメチャクチャな会社がたくさんあります。たくさん見てきました。
「高性能グラスウールを使ってるからご安心ください。」というセールストークを聞いた瞬間、この会社の断熱性能には期待できないと思って間違いではないかもです。
なぜなら、断熱材は何を入れるかよりも、どう入れるか、の方が大事だからですね。
高性能グラスウールを使っても充填方法では性能が半減以下になることを、絶対に忘れないでください。
高断熱住宅はノウハウのある技術者が施工することで初めて成立します。
断熱の良し悪しは人間の寿命にも影響します。
ぜひ今後の家づくりの参考にしてください。
ビルダー選びってホントに重要です。
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