平屋の新築一戸建は割高|平屋のメリット・デメリット→コストが高い理由
平屋は工事費が割高になるって聞くけど
・・・実際どうなの?
最近は平屋が大人気。平家のメリットは大きいですからね。
とはいえ実際のところ平屋は総2階建ての家と比べて坪単価が高くなります。同じ30坪の家でも数百万円単位で平屋の方が建設費用は高くなります。
平屋を希望しつつも建設費用を抑えたいという理由から、平屋を諦める人も多いです。
本記事では平屋建ての「メリット・デメリット」と「平屋でも費用を抑える方法」を解説したいと思います。
ぜひ最後までお付き合いください。
この記事はこんな僕が解説しています▼
- 2006年から注文住宅の会社に勤務
- 土地探しから間取提案、引渡しまで一貫した実務経験
- 営業、設計、現場監督をしている現役建築士
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平屋建て|3つのメリット
まず最初に平屋のメリットからお話しします。
平屋のメリットは大きく分けて3つです。
- 階段の上り下りがない
- 階段がないので間取りの自由度が高い
- イニシャルコスト・ランニングコストの削減
詳しく解説します。
階段の上り下りがない
平屋と2階建の大きな違いは言わずもがな、階段があるかないかです。
2階にLDK・2階に寝室・2階に水廻り。日常的に使用する部屋が2階にあれば毎日必ず階段の上り下りが発生します。
若いうちはストレスの少ない階段でも、年を重ねていくごとに足腰が弱まってくると、階段の昇降が億劫になってきたりするものです。
一度でもギックリ腰を経験した人なら、階段の上り下りの辛さは体験済みですよね。
階段のデメリット、挙げればたくさん出てきます。
子どもを抱っこしながら、
買い物袋を持って2階に上がるのが苦痛です。
「終のすみか」と言われるマイホーム、階段がないのは長期間住むには安心ですよね!
階段がない分、間取りの自由度が高くなる
階段を設ける場合、階段以外にもそれをつなぐ廊下やホールも必要になります。
2階建ては上下階のつながりを意識して階段を計画しないといけないので、階段のない平屋の方が間取りの自由度は高いといえますね。
- くるくる回る回遊動線
- 2階がないから天井を高くできる
- 柱のない広々したLDK
平屋の方が間取りやデザインの自由度は高くなります。
イニシャルコスト・ランニングコストの削減
平屋は階段が必要ない分、家の大きさを小さくすることができます。
具体的な大きさでいうと階段で2畳、廊下(ホール)で1〜2畳、最低3畳以上のスペースが必要となり、平屋では階段+廊下が不要となるのでその分の坪数を削減できます。
閉塞感のある階段ってイヤですよね。
例えばビルダーの標準坪単価が60万円だとすると60坪×2坪で120万円もの費用がかかることになります。
また屋根・外壁などは定期的にメンテナンスが必要です。
2階建てだと屋根の上まで上がれませんし外壁の高いところは手が届きませんので、足場の費用が掛かってきます。
ところが平屋であれば足場は不要なことが多いです。
足場の費用だけでも何十万円もかかり、それが10年〜15年おきにかかってくると思えば無視できない金額になりますね。
【番外編】外観がカッコいい!
僕は日頃から実務で設計していますが、2階建ての家は意識しないと外観のプロポーションがカッコ悪くなってしまいます。
1階と2階のバランスだったり、2階の窓と1階の窓のバランスだったり、屋根の勾配によってもプロポーションは変わりますね。
2階建ての家は意識しないと外観が本当にカッコ悪くなってしまいます。
たとえば窓の位置によっては顔見たいな外観になったり。
カッコ悪いですよね。気をつけないと意外とこんな外観にされたりするんです。
一方、平屋建ての外観は比較的簡単にカッコ良くできます。
若い建主さんはカッコいい外観に惹かれて平屋を要望する人も多いです。
こんな外観、カッコよくないですか?
平屋のデメリット
一方、平屋にはこんなデメリットもあります。
敷地の広さが必要になる
敷地によって建てられる家の大きさは変わってきます。
敷地に対する建物の水平投影面積(空から見下ろした建物の形状面積=建築面積)のことを建ぺい率と言い、建ぺい率以下で建物を計画しなければいけないルールがあります。
建築基準法で定められています。
建築物の建築面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建ぺい率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。
建築基準法
建ぺい率は地域によって変わります。
厳密には用途地域という区分によって建ぺい率の上限がそれぞれ定められていて、多くの土地は「住居系」のどれかがだと思います。
建ぺい率は40%というのが多いです。
この場合、建築面積が敷地面積の40%以下にしないといけません。
60坪の土地ならその40%だから24坪以下の建築面積とする必要があります。
一般的には4人家族なら最低でも28坪から30坪は欲しいところ。60坪の敷地で建ぺい率40%なら、平屋だと4人家族は窮屈な暮らしになりそうです。
30坪の平屋を建てようと思うと、建ぺい率40%の土地なら120坪の敷地が必要になります。
平屋にこだわると建ぺい率を意識して広い土地を選ばなくてはいけなくなります。
総2階建てと比べて費用がかかる
2階建の家を建てるよりも平屋で建てる方が広い土地が必要になります。
土地の値段は坪数×坪単価なので、当然土地が広くなるほど土地代は高くなります。
また多くのビルダーは総2階建てを標準の坪単価にしていて、平屋建てで家を建てるとなれば平屋割り増しといった名目の費用が加算されることになります。
平屋割り増しが仮に坪10万円だとすると、30坪の平屋の場合「30坪×10万円=300万円」もの費用が総2階建ての家に加算されることになります。
階段が無くて子どもから残念に思われがち
モデルハウスやオープンハウスに来場される方はマンションなりアパート暮らしで家に階段がない人が多いです。
小さな子ども連れでくる家族を案内していると、階段を見て興奮している子どもは結構多いものです。
家に階段がない子どもにとっては、階段に興味津々です。
上からボールを落としたり、なんなら階段を上り下りするだけでも楽しいもの。
子どもにとって階段は遊び道具の一つだったりするものです。
なんで友達の家には階段があるのにうちには階段がないの?とガッカリされてしまうこともあるかもしれませんね。
同じ坪数なら平屋よりも総2階建ての方が安い
平屋建ての場合、平屋割り増しが建設費用に上乗せされるとお伝えしました。延べ床面積が同じ家でも、平屋で建てるか総2階建てを建てるかで建設コストは変わってきます。
階段がなくなる分、平屋の方が’むしろ安くなるんじゃない?
と思う人もいるかもしれませんが、反対に同じ延べ床面積で比較すると平屋の方が建設費用は高くなってしまいます。
たとえば延べ床面積が30坪の家を建てるとき、
- 1階30坪の平屋
- 1階15坪+2階15坪→合計30坪の総2階建て
2つを比べたとき、一般的には平屋の方が割高になります。
その理由を解説します。
総2階建てと平屋では、屋根面積・基礎の長さが2倍違う
30坪の平屋を建てる場合、30坪分の屋根面積と30坪分の基礎の長さが必要になります。
一方で1階15坪+2階15坪の延べ床面積30坪の総2階建てを建てる場合は、15坪の屋根面積と15坪分の基礎の長さとなります・
同じ延べ床面積30坪でも平屋と総2階建てを比べた場合、総2階建ての方が基礎も屋根も半分で済むのでシンプルにその分が安くなります。
坪単価に直すと平屋は割高
住宅屋さんは一般的に総2階建ての家を標準単価にしているところがほとんどです。
30坪の総2階建て坪60万円の場合は1800万円ですが、30坪の平屋の場合は平屋割り増しが加算されるので、その分が割高になるといった形になります。
なので建設コストから坪数を割り返して算出される坪単価は平屋の方が高くなり、平屋が割高になるというお話しです。
総2階建ては安くて平屋は高い→間違い
と聞かれると、それはNOです。
坪単価が高いからといって、単純に比較することはできません。
坪単価は高くてもトータルコストでは平屋が安い
2階建ては階段とそれに付随する廊下が必要になるので、平屋と比べるとその分のスペースが余計に必要になってきます。
逆に言えば平屋建ての場合は階段と廊下が不要になるのでその分の床面積は不要になります。
延べ床面積で言うと約2坪分が不要なので、その分のコストを抑えることができます。
30坪の2階建ての場合、階段と廊下を除いた床面積は28坪の平屋と同じくらいの大きさになります。
まとめ|平屋のメリット・デメリット・コストが高い理由
平屋が人気な理由はよくわかります。
老後に備えて平屋が良いと言う人もいれば、階段の上り下りを嫌って平屋を望む人もいます。
とはいえ、いざ平屋で計画すると思ったよりも高くてびっくりする人も少なくありません。
2階建てより平屋の方が安いイメージありますよね。そう思う気持ちもよく分かります。
階段がなくなる分、むしろ安くなりそうな気がしますからね。
30坪の総2階建てと30坪の平屋建を比べた場合、屋根面積・基礎の周長の関係から平屋建ての方が坪単価は割高になります。
単純に「30坪平屋」と「15坪+15坪の30坪総2階建て」では屋根・基礎の面積・周長が倍違うことになりますからね。
金銭的な面から平屋を諦めて2階建て住宅にする人もたくさんいます。
また平屋建ての場合は敷地面積に対する建築面積(建ぺい率)の制約もあるので、広い土地じゃなければそもそも建ぺい率オーバーで望んだ家を建てられないかもしれません。
平屋を検討している人は、土地探しから気をつけましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。