【住宅ローン|半年に一度金利は変動する】固定金利・変動金利を徹底解説!
- 2006年から今日まで注文住宅の会社に勤務
- 16年の実績を持つ現役建築士
- 土地探し→設計→現場管理→引渡しまですべての業務担当
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住宅ローンの相談に行こうにも、
金利・利息、そんな言葉も知らない状態で行っても良いのだろうか、
騙されやしないだろうか、
と心配されている人も多く、誰かに聞くのも恥ずかしくて調べてもよく分からない。
そんな人がたくさんいます。今回はそんな住宅ローンの基礎的なお話しです。
家を建てるとき、銀行に行けばお金を貸してくれるのは何となくご存知ですよね。
「それじゃ僕もお金を借りに行くなり。」と、いざ銀行に行っても
固定金利にしますか?それとも変動金利にしますか?それとも固定期間選択型の変動金利にしますか?
とか、
今は固定金利が〇〇%で、店頭金利マイナス〇〇%だから変動金利は〇〇%になります。
とか、こんなこと言われても全然意味が分かりませんよね。
自分から銀行に行ったのに説明聞いてる途中で、もぉ帰っていいですか?と思うのが住宅ローン、特に金利というものです。
普段はお金の出し入れだったり振り込みだったりお馴染みの銀行ですが、住宅ローンの相談に行くとなれば馴染みのある銀行でも、なんだか遠い場所に感じてしまいます。
- 利息?利子?金利?
- 変動金利?固定金利?
- どっちか選ぶって・・・選ぶ基準がわからないけど?
そんな人のために、最低限知っておきたい住宅ローンの金利の話をしたいと思います。
・・・とは言え、
銀行窓口で手続きするなら、金利とか利息とかの意味が分からなくても、窓口の人が上手いこと手続きしてくれたり、分かりやすい表現で言い換えてくれるので、絶対覚えないといけないわけではありません。
でも知ってる方が住宅ローンの選択肢の幅が広がり、お得に借りることができるようになる可能性があるのです。
【金利について】これだけ押さえておけば大丈夫!
「変動金利と固定金利どちらにしますか?」って聞かれても、そもそも変動金利も固定金利も分からなければ話が進みません。
そもそも金利がよく分からないって人も多くいらっしゃると思います。
利息=借りたお金×金利×借入期間
金利って言葉は聞いた事があるけど、何のことを言ってるのかイマイチ分からないですよね。
一応金利の定義を載せておきますが、ワケワカメだと思うので読み飛ばして大丈夫です。興味のある人だけ読んでみてください。
金利
預金・貸金の利子あるいは利率。利息。貸借期間の長短によって異なった金利が成立し,それらの金利の間に一定の関係がある。
広辞苑より引用
・・・やっぱり解読不能だったと思います。取扱説明書が英語で書いてる感じですよね。
利子・利率・利息、金利を理解しようと思ってもその説明に使われている言葉の意味が分かりません。
ってことで、これらの単語を簡単に解説します。
利子と利息、利率と金利
銀行から「お金を借りてから返すまで」の流れがコチラ▼
- あなたが「100万円貸して〜」と銀行へ借りに行って
- 銀行から「金利〇〇%でお貸しします〜」と言われながらお金を借ります
- 借りたお金を返すときは、借りる時に言われた金利分を上乗せして返す。
これを図にするとこんな感じです。利息2%の場合のお金の貸し借りの流れになります。
金利は「お金を貸してくれてありがとう」という感謝の気持ちの感謝料のような費用です。
金利はお金を返すときの感謝料の割合を言います。
とは言えこれは365日後に一括で返す場合の話になるので、住宅ローンのように毎月返済する場合はもう少し複雑な計算式になります。
「借りたお金×金利×返済期間=利息」
金利2%であれば365日後の返済額は次のような式で
100万円+[100万円×2/100×(365日/365日)]
- 1年後に返す場合返済額は102万円となります。
- 100日後に返す場合は式の最後が(100日/365日)の日割り計算となります。
金利は「年利」とも言い換えられたりします。
金利=年利(一年後にいくら返すか)
利子と利息の違い|「利子」は払って「利息」はもらう
100万円借りて102万円で返す場合の2万円。
これが利子であり利息でもあります。一見すると同じ意味に聞こえる利子と利息ですが、意味はまるで違います。
この2万円、受け取る側は利息をもらう、払う側は利子を払うと言います。
貰うか払うかで言い方が違うんだね
とは言え、厳密に利子と利息を区別して用いることは少なく、だいたい一括りで「利息」ということがほどんどです。
なのでここからは「利息」で統一しちゃいます。
1年間で払う利子の割合を『利率』と言います。
金利は半年ごとに見直し→返済額が変わる可能性
もう一度おさらいしますと利息の計算は、
「利息=借りたお金×金利×返済期間」です。
住宅ローンを借りる場合の返済期間は、多くの人は30年だったり35年だったり(若い人なら40年だったり)とその人が働ける年数を考えて自分で設定します。
これで利息の計算式の「借りたお金」と「返済期間」が固定されました。
ところが金利は変動する可能性があるのです。金利のが変動すると利息額も変動します。
金利が上がれば利息は増えるし、金利が下がれば利息は減ります。
この金利、厄介なことに半年に一回見直されています。(4月と10月)
金利が上がれば返済額は増えますので、借り手側としては絶対に金利は上がってほしくないもの。
金利が上がると、どれくらい返済額が変わるかと言うと、
金利が0,1%上がると総返済額がこれだけ増えます。
約40万円UP
借入額2000万円→総返済額は約60万円UP
借入額3000万円→総返済額は思ったよりも大きな金額です。
借入額の大きな住宅ローンでは、たった0,1%の差でもこんなに大きな利息の差になるのです。
金利差0,1%の差でこんなに変わります。0,2%でさらに2倍、0,3%で3倍・・・
たった0,1%上がるだけでこんなに違うんです。生活への影響も大きいですよね。
変動金利と固定金利の違い→リスクの違い
変動金利と固定金利、どっちにしますか?
どっちにしますかって聞かれても・・・って感じですよね。
借りる側or銀行|金利上昇のリスクをどっちが負担するか
先ほど、金利は半年ごとに見直されるとお伝えしました。
金利が上がれば金利上昇分の利息が上乗せする形になるので、単純に返済額がUPします。
そうは言っても金利が上昇するかどうかは誰にも分かりません。もしかしたら逆に金利が下がるかもしれません。
この金利変動のリスクを借りる側と銀行のどちらが負担するかが、固定金利と変動金利の違いになります。
ひとことで言うとこんな感じです▼
金利変動のリスクを・・・
- 借りる側が負担するのが変動金利
- 銀行側が負担するのが固定金利
固定金利を選べば半年ごとに金利が上昇しても借りる側は何も影響ありません。
ただ最初に借りた金額に対して金利を計算した金額をひたすら毎月返し続ければ良いのですから。
って思いがちですが、実際は変動金利を選んでいます。
なぜ変動金利を選ぶのか・・・
ってことで変動金利を選んでいるわけではありません。
固定金利よりも変動金利の方が金利が低く、金利が上昇しなければ固定金利よりも総返済額を抑えることができるからです。
変動金利|返済終了まで金利が横ばいなら超お得
半年ごとの金利変動のリスクを借りる側が負担するのが変動金利。今後金利が上がるのか下がるのか、金利の変動は誰にも予想できません。
金利が見直されるのは半年に一度なので「借りる年数×2回」利息が変動する可能性があり、35年ローンなら最初の1回目を除いた69回も金利変動のリスクを負うことになるのです。
とは言え、変動金利のメリットは固定金利よりも金利が低いことです。
固定金利よりも変動金利が、1%弱ほど金利が安いです!
この金利差は100万単位で総返済額に差が出ます。
返済期間中ずっと金利が変わらなければ、固定金利よりも変動金利の方が断然オトクです!
メリット
- 固定金利と比べ金利が低いので総返済額を抑えることができる!
- 申込時から返済終了まで金利が横ばいなら固定金利よりも断然オトク!
デメリット
- 経済情勢によって金利上昇の可能性(総返済額上がる!)
- 金利が変動するから、返済終了時まで総返済額は分からない
変動金利で借りる場合の条件
本来は次のような人たちが変動金利を選ぶものです。
- 将来、金利が上がっても無理なく返済できる人
- 半年に一度変動する金利の動向をチェックできる人
- 金利が上昇したときに繰上げ返済などで対応できる人
現実は、今の超低金利が今後ずっと続くと信じて、変動金利を選んでいる人が多数です。
35年間で69回の金利変動のリスクがあり、その一回の見直しで1%も2%も上がる可能性はあるわけです。
ここまで一気に上がる可能性は低いかもしれませんが、半年後→1年後→1年半後・・・と徐々に1%・2%と上がる可能性は十分にありえます。
気が付いたら金利が1,5%も上昇していました、なんてことになれば総返済額はもちろん月々の返済額も大きく変わってきます。
万が一金利が上昇してきたら、借り換えや繰上げ変更などの条件変更で、金利上昇の影響を最小限に抑えることが大事になります。
変動金利を選ぶなら、金利の動向を定期的にチェックして家族とマイホームを守ることを忘れないでください。
固定金利|金利の影響関係なし→返済額が変わらない安心感
半年ごとの金利変動のリスクを銀行が負担するのが固定金利。
金利が上がったら返済額もUPする変動金利と違い、金利が上がっても返済額に影響を与えないのが固定金利のメリットです。
逆に金利が下がったら返済額もDOWNする変動金利と違い、金利が下がっても返済額が変わらないのが固定金利のデメリットとも言えます。
たった0,1%の金利の違いで数十万円も総返済額に差が出るので、多くの人が変動金利を選択しそうですよね。
固定金利は2種類あります。
- 全期間固定金利
- 固定期間選択型(3年・5年・10年)
この2つの違いについても解説します。
全期間固定金利|金利変動のリスクを一切受けない!
半年ごとの金利変動による影響は、借り手側には一切関係なくなるのが全期間固定金利。
このときの金利の変動リスクはどの時点でも銀行が負うことになります。
適用される金利が確定するタイミングは次の2つのどちらかです。
- 申込時点の金利
- 融資実行日の金利
金融機関によって違うので、気になる方は銀行に確認してみてください。
毎月の支払いがずっと安定しているので返済の目処が立てやすいのが固定金利のいいところですね。
ただ、金利変動のリスクを銀行が負担することになるので、一般的には固定金利の適用金利は変動金利と比べて高めに設定されています。
全期間固定金利を選択したときの返済額と金利のイメージ図です▼
最初の金利適用時の金利が完済するまで適用されるので、返済完了時まで返済額が変わらない安心感は大きですよね!
とは言え適用金利が完済まで横ばいだった場合は、変動金利と比べると総返済額が100万円単位で変わってきます。
今後の金利の動向は誰にも分からないだけに悩ましいところですね。
固定金利を選んだからには今後金利が上がってくれた方が、選択していて良かったと思えそうですよね。
メリット
- 金利が確定するので、月々の返済の目処が立てやすい!
- 金利変動の影響を受けないので「返済額が増えたら」という心配がない!
デメリット
- 金利が高めに設定されている。
- 完済するまで金利が横ばいなら、変動金利よりも総返済額が多くなる!
全期間固定金利はこんな人にオススメ!
- 住宅ローンの返済を家賃感覚で返していきたい(固定化されている)
- 金利の動向を気にせず安定して計画通りに返済していきたい
固定期間選択型
- 金利変動のリスクを負うけど金利が安い変動金利。
- 金利変動のリスクは無くて安定してるけど金利が高い全期間固定金利。
変動金利と全期間固定金利のイイとこ取りみたいなのが「固定期間選択型」です。
3年・5年・10年と選択した期間は金利の変動による影響を受けません。
3年期間を選択すれば3年後、10年期間を選択すれば10年後。
選択した期間が満了する頃にもう一度固定期間を選択するか、選択した期間が満了して以降は変動金利を選択することもできます。
固定期間が経過したのちに、再度固定期間選択型を採用した時のイメージ。(固定期間10年の場合)
固定期間が経過したのちに、変動金利を選択したイメージ▼(固定期間10年の場合)
メリット
- 固定期間は金利が変動しないため返済額が変動しません。
デメリット
- 固定期間終了後に、金利が大幅に上がっていると返済額も大幅に上がるリスクがあります。
固定期間選択型はこんな人にオススメ!
- 返済額を一定にしたい期間が決まっている人。(子供が高校卒業するまで)
- 毎月の収入が一定ではない個人事業主など。
1995年から続く超低金利時代→いつまで続くか分からない
1990年の金利は8.5%でした。
3000万円を金利8,5%で35年で完済すると総返済額は9,400万円にもなります。
何と驚きの月々返済額「22万4千円」です。
バブリーだった当時と今では感覚が違うのでしょうね。想像がつきませんよね。
8,5%だった金利は1995年以降は1〜2%台と言う超低金利となっています。
っと思うのか、
っと思うのか。
変動金利・固定金利を選択するときの参考に・・・する人はしてください。少なくとも、目先の返済額の少なさだけをみて変動金利を選ぶことのないようお気をつけください。
住宅ローン利用者の7割以上が「変動金利」を選ぶ
結局のところ、みんなが選んでるのはどの金利タイプなんだろ?
- 変動金利?
- 全期間固定金利?
- 固定期間選択型の変動金利?
じつに7割の人が変動金利を選択しています。
先ほどの総返済額を比較すると一目瞭然で、固定金利よりも変動金利の方が圧倒的に支払う利息が少ないので、多くの人は変動金利を選択するわけですね。
借入額3000万円・35年間の総返済額
- 変動金利(0.5%)・・・約3270万円(利息270万円)
- 固定金利(1.6%)・・・約3920万円(利息920万円)
とは言え、
今の超低金利がずっと続けば総返済額を少なく抑えられますが、住宅ローンを返済し続ける30〜40年の間に金利が上昇する可能性があるので変動金利はリスクが伴います。
でもここ20年ほど金利が低い状態をキープしてるのが現実です。
4人に1人が期間選択型含む固定金利を選んでいるとはいえ、圧倒的に変動金利を選ぶ人が多いです。
何となくみんなが選んでるなら変動金利にしようかな、総返済額も安く抑えられるし。
と流されてしまいそうなくらい圧倒的に変動金利を利用する人が多い結果になっています。
総返済額の少ない変動金利を選びがち
- 変動金利・・・金利が低い(利息が少ない)
- 固定金利・・・金利が高い(利息が多い)
金利は半年に1度見直されるので、変動金利はその度に金利の影響をモロに受けます。
一方、固定金利は住宅ローンの契約時の金利が適用されるので金利が変動しようと一切影響はありません。
固定金利は最初に適用金利が決まったら毎月の返済額が決まり、住宅ローンを家賃感覚で支払うことができるので将来を見据えた家計管理ができるのが最大のメリットですね。
固定金利・変動金利はそれぞれ一長一短があるものの、とりあえず金利の低い変動金利を選びがち。
銀行の窓口で最初に紹介されるのも変動金利が多いです。
金利が低いと総返済額を抑えることができます。
言い換えると、金利が低いとより多くのお金を借りることができるんです。
銀行は住宅ローンを貸せば貸すほど利息で儲かる仕組みになっていますので、できるだけあなたにたくさん住宅ローンを借りて欲しいのです。
じつは全期間固定金利の方が金利は低い
変動金利の方が金利が低いとお話ししてきましたが、じつは変動金利よりも固定金利の方が低く設定されています。
金利が低くて住宅ローンを利用するときに検討したい、三菱UFJ銀行の金利を例にお話しします。
三菱UFJ銀行の変動金利タイプの金利がこちら▼
よ〜く見てください▼
店頭表示金利→年2,475%と書いていて、これは定価みたいなものです。
その後に書いている
完済まで店頭表示金利より年-2,00%と書いています。
つまり年0,475%が適用金利になると言うことです。
一方、全期間固定金利を見てみます。
店頭金利(基準金利とも言われたりします)は金利のベースになるものです。
実際に適用される金利は「店頭表示金利-2,00%」というような値引きされた後の金利になります。
この値引きされた金利のおかげで、固定金利よりも変動金利の方が金利が低いことになっています。
まとめ|金利って?固定金利・変動金利って?
銀行の窓口に行けば分からないまま何となく住宅ローンの手続きができるものです。
とは言え何千万円ものお金を借りて、借り方によって返済額が100万円単位で変わるわけですから、それを人に任せるのはちょっと心配。
今回のことが理解できれば、金利の変動リスクを自分が負うのか、金利変動のリスクを負話ないのかで金利を選択することができます。
僕の実務経験上、固定期間3年の変動金利を選択する人がほとんどです。
適用金利が最も低いのが固定期間3年のものだからですね。
とはいえ、優遇金利が終了すれば固定金利と金利が逆転する可能性はゼロではありません。
もし金利が上昇して住宅ローン破綻してしまっては、マイホームを手放すことになりかねません。
変動金利がいつまでも今の超低金利で続く保証はありません。
金利は十分考えて選択してください。
金利が上昇したら早めの借り換えを検討しましょう。