【夏涼しくて・冬暖かい】高気密高断熱住宅のメリット3選
この記事はこんな僕が解説しています▼
- 2006年から今日まで注文住宅の会社に勤務
- 16年の実績を持つ現役建築士
- 土地探し→設計→現場管理→引渡しまですべての業務担当
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念願のマイホーム。そのマイホームが原因で年間1,7万人も亡くなっているという驚きの事実があります。
交通事故によって亡くなる人は年間約3,000人
マイホームで亡くなっている人は年間約17,000人
死因の多くは、「ヒートショック」で、そのヒートショックの原因は「低気密・低断熱」です。
関東圏に住んでる僕たちには関係ないよね。
こう思う人もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、高気密高断熱住宅のメリットについてお話ししたいと思います。
- 高気密高断熱 = 密閉された魔法瓶
- 安全・省エネ・快適|高気密高断熱のメリット3選
- 気密と断熱は表裏一体!どっちも良くなきゃダメ!
- 高気密高断熱は住宅会社と大工の技術で決まる!
- 過乾燥|高気密高断熱住宅の唯一のデメリット!
- 0円でできる過乾燥対策!【オススメ】
雪国に住んでいる人はもちろん、高気密高断熱なんて関係ないと思っている関東圏の人たちにも読んでいただきたい内容となっています。
ぜひ最後までお付き合い下さい。
高気密高断熱=高気密+高断熱
高気密高断熱は『高気密+高断熱』の両方の性能を持ち合わせた住宅です。
高性能な住宅は「高気密+高断熱」でなくてはいけません。
高気密高断熱住宅|気密性能について
気密性能は「いかに外気の侵入を防ぐか」で決まります。
気密のことを考えずに家を建てるとスッカスカの家ができ上がります。
ハガキのサイズは1枚あたり『 縦14,8cm × 横10,0cm 』
家全体でA4コピー用紙1枚分の隙間になります。
高気密住宅は隙間を寄せ集めても、ハガキ半分くらいの大きさです。
気密の悪い家は、窓を開けていないのに隙間風がビュービュー入る家になっています。
高気密高断熱住宅|断熱性能について
断熱性能は「断熱性能 × 断熱材を入れる厚さ」で決まります。
いくら高性能な断熱材でも断熱材の厚みがなければ高断熱とは言えません。
逆に性能が低い断熱材でもメチャクチャ厚く入れれば高断熱になります。
とは言え、高性能グラスウールを骨組の厚さ分(10.5cm)充填するのが一般的ですね。
木造住宅の多くは在来工法と言って、厚さ105mm(10.5cm)の柱・梁で組み立てられるので10.5cmというわけです。
断熱材は隙間なく充填して初めて効果が発揮されます。
隙間があると断熱効果は半減します。
高断熱住宅では柱の外側にもグラスウールを充填して15cmとか20cm断熱している住宅もあります。
高性能グラスウールのメーカーは、
- 旭ファイバーグラス
- マグ・イゾベール
- パラマウント硝子工業
なんかが有名ですね。
高気密高断熱住宅 = 魔法瓶
どんなに外が暑くても魔法瓶のボトルに入れた冷たい飲み物は夜までキンキンに冷えてるし、温かい飲み物は夜までアツアツ!
魔法瓶の中は魔法瓶の外の気温に関係なく、温度を一定に保ってくれます。
高気密高断熱住宅は魔法瓶と同じ構造です。
安全・省エネ・快適!|高気密高断熱のメリット3選
ウチには必要ないかな。
高気密高断熱住宅はイイよ〜って周りから言われても、何がイイのかよく分からんって人が多いでと思います。
高気密高断熱のメリットをご紹介します。大きく分けて3つあります。
- 「ヒートショック」を防いで『人』が長生きできる!
- 内部結露を防いで『家』も長生きできる!
- 高気密高断熱で光熱費を抑えることができる!
では詳しく解説していきます。
「ヒートショック」を防いで『人』が長生きできる!
寒さが及ぼす人への悪影響
暖かい場所から急に寒い場所に移動すると血圧や心拍に急激な変化が起きて
脳梗塞・心筋梗塞を引き起こす!(可能性がある)
冒頭でお伝えしたように、17,000人もの人が急激な温度変化が原因であるヒートショックによって亡くなっています。
つまり、高気密高断熱住宅に住んでいれば17,000人の方は今もご健在だった!(かもしれない)
昔の家はリビングだけ暖かい
昔の家ってリビングは暖かいけど廊下に出れば寒かったですよね。
部屋に戻ったらポータブルストーブを焚いてた方もいらっしゃると思います。
高気密高断熱住宅は魔法瓶の中で生活しているように、家のどこにいても室温はほぼ一定です!
つまり家中暖かいので温度差による影響を受けにくいです!
内部結露を防いで『家』も長生きできる!
高気密高断熱が救ってくれるのは人の寿命だけではなく、あなたの大切な『家』も守ってくれます!
その理由は、内部結露を防いでくれるからです。
結露には表面結露と内部結露の2種類あります。
表面結露は窓ガラスに付く水滴のように、表面に見える結露です。
これは拭き取れば、さほど問題ありません。
一方で大問題なのが内部結露です!
内部結露|壁の中で結露!
内部結露は、簡単に言うと壁の中で結露することです。
壁の中なので日常生活では絶対に見えません。
家は「柱・梁・土台」といった木の骨組みで構成されています。
内部結露によってこれら骨組みが濡れてしまいその結果、木材が腐敗してボロボロのスカスカの骨組みになってしまいます。
内部結露によって骨組みがボロボロになると、ちょっとの地震で崩れてしまうような、そんなモロい家になってしまいます。
でも高性能な家と何が関係あるの?
内部結露を防いでくれるのが高い気密性能です。
結露の原因は湿気です。空気中に含まれる湿気が結露につながります。
結露は空気中に含まれる水蒸気が冷やされて水滴になります。
外気温が低くなると窓ガラスや外壁面は冷やされてしまいます。
断熱の弱い部分では空気が冷やされて水滴(結露)が発生しやすくなります。
炊事・洗濯すれば湿度は上がるし、僕たち人間は息したり動いたりするだけで体から水分(湿気)を放出します。
これらの湿気が壁の中に入って、冷たい外気にあたり冷やされることで壁の中での内部結露が発生します。
湿気がなければ結露しません。
家の中がビニールハウスのように囲われてたら湿気が壁の中に逃げることはありませんからね!
内部結露でヒートショック!
内部結露の悪影響は、木材を腐敗させるだけではありません。
内部結露によって断熱材が濡れてしまうことも大きなデメリットです。
水は熱を伝えます。
熱々のヤカンを持つときに、濡らした布巾で持ったのに「あっつ!」ってヤケドしそうになった経験ありませんか?
壁の中で結露すると断熱材が濡れてしまいその結果、熱を伝えやすくなった断熱材のせいで家全体の断熱性能が悪くなります。
高性能の断熱材を使っているのに家の中が寒いぞ。
っていうことになってしまいます。
ヒートショックの原因である温度差が生まれてしまいます。
高気密高断熱は光熱費を抑えることができる!
30℃を超えるような暑い日も、氷点下10℃を下回るような寒い日もあります。(地域によりますが)
高気密高断熱住宅とはいえ、さすがに厳しい環境では外気温の影響を受けてしまいます。
冷房をつけたり暖房をつけたりする日もあるでしょう。
低気密低断熱住宅は隙間風ビュービューで、外からの熱も冷気も入りまくるし、断熱が悪いもんだから、冷やした空気も暖めた空気もバンバン外に逃げていきます。常にエアコン・暖房マックスで24時間つけっぱなしです。
一方、高気密高断熱は魔法瓶のような構造なので、『外と家の中の熱の受け渡しが少ない』ので、ちょっとエアコンつけたり、ちょっと暖房つけたりするだけで、室温を下げたり上げたりすることができます。
高気密高断熱の家は、メチャクチャ燃費がイイんです!
気密と断熱は表裏一体!どちらかだけが良いはダメ!
よく高気密高断熱って、ひとまとめに言われますよね。
高気密低断熱とか低気密高断熱なんて家はありません。
どっちも高性能で初めて成立します!
高気密でも低断熱だったら、壁とか屋根から熱が入ってきたり出て行ったりしますし、
高断熱でも低気密だったら、隙間風ビュービューで外気の影響をモロに受けちゃいます。
高気密と高断熱は、二つで一つ。一心同体。二人三脚です。
どちらかだけが良くてもダメなんです!
高気密高断熱は住宅会社と大工の技術で決まる!
残念ながら今の日本の住宅は低気密低断熱の家が多いです。
むしろ、もっと厄介な中気密中断熱の家が多いんです。
高気密高断熱の家を作るには技術とノウハウが必要ですが、その技術とノウハウを持っている住宅会社は住宅業界全体の一部です。
そして、仮に住宅会社に技術とノウハウがあっても実際に施工するのは現場の職人さん。
つまり大工さんです!
大工さん次第で高気密高断熱にも低気密低断熱にも、一番厄介な中気密中断熱の家にもなり得ます!
過乾燥|高気密高断熱住宅の唯一のデメリット!
高気密高断熱住宅には唯一デメリットがあります。
それは過乾燥になりがち。
僕の経験上、真冬の家の湿度が20%台ってお宅が多いです。これは暖房システムが影響しています。
高気密高断熱住宅の場合、北海道のような寒冷地だとセントラルヒーティングが一般的です。
セントラルヒーティングは、灯油ストーブのように水分を放出するタイプの暖房じゃないので暖房システム上どうしても乾燥しがち。
ちなみにポータブルの灯油ストーブで、灯油1リットル焚いたら約1,1リットルの水分を放出します。
結露や空気汚染の原因になるので、ポータブルストーブを炊くときは定期的に換気をしましょう。
0円でできる過乾燥対策!【オススメ】
加湿器を買うのはお金がかかりますので、無料でできる乾燥対策をご紹介します。
- 洗濯物は乾燥機を使わず室内干し!
- 湯船の水は溜めっぱなし+ドア開けっぱなし!
- 家の中で観葉植物を育てる!
- 床暖+タイル仕様なら雪をぶちまく!(雪国限定)
洗濯物を室内干しすると一晩でカラッカラに乾きます。
湯船の水も溜めっぱなしにするだけで加湿してくれます。
家の中で観葉植物を育てているご家庭は常に湿度が高めです。(40%台とか)
床暖+タイル貼りの玄関とかなら雪をぶちまけるだけで、雪が解けて加湿してくれます。
高気密高断熱住宅のメリット3選|まとめ
年間17,000人以上がヒートショックによってお亡くなりになっています。交通事故の5倍以上の人数です。
それは性能の低い住宅によって引き起こされています。
リビングは暖かいけど廊下に出れば寒い。部屋に戻ったら尚更寒い!みたいな温度変化は体に負担をかけます。
暖かい場所から急に寒い場所に移動すると血圧や心拍に急激な変化が起きて、その結果脳梗塞・心筋梗塞といったヒートショックを引き起こします。
高気密高断熱住宅は僕たちが安全かつ快適に暮らしていくための必須性能です!
- 「ヒートショック」を防いで『人』が長生きできる!
- 内部結露を防いで『家』も長生きできる!
- 高気密高断熱で光熱費を抑えることができる!
高気密高断熱住宅のおかげで、ヒートショックや内部結露を防ぎ、さらには少ないエネルギーで快適に暮らすことができます。
『人』・『家』・『お財布』に良い影響を与えてくれます。まさに三方よしです。
以上、家づくりのお役に立てていただけると幸いです。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございます^^