「間取り相談」はムダ|間取りの不安を解消する方法は?
このブログは、
注文住宅の会社に勤めるサラリーマン建築士の「けんちくん」が、17年の実務経験を基に、家づくりのいろんな疑問にお答えする。
そんなブログになっています。
ビルダーからもらった間取り、本当にこの間取りで良いのか不安です。
注文住宅の家づくりでは、間取りに不安を持っている人がたくさんいらっしゃいます。
最近SNSなどで、
「間取り相談」とか「間取り診断」とか
さまざまな家づくりに関するスキルが出品されていて、それがわりとリーズナブルな価格で提供されているので、家づくり初心者さんには魅力的なサービスに見えますよね。
・・・ですが、これらのサービスを利用するだけ無駄です。利用する価値ゼロです。
本記事では「間取り相談は無駄」をテーマに僕の持論を展開していきます。
結論から言うと、間取り相談という発想に至った時点で家づくりは失敗しています。間取りの不安を解消する方法は納得いくまで徹底的に打合せすること。これに尽きます。
ぜひ最後までお付き合いいただけると幸いです。
1stプランで決まることは、ほとんど無い
僕の経験上、ビルダーから提案された最初の間取り(1stプラン)のまま決まることはほぼありません。
それはお前のプラン力が無いからだろ!という話では無く、
仮に設計の神様が設計しても、1stプランをまったく変更なく進むことはほぼ無いと思います。
- 建主の要望と予算のミスマッチ
- 建主の要望と建築基準法とのミスマッチ
- 建主の生活上のルーティンを知らないから
信頼関係なくして良い家は建たない
はじめてビルダーから提案された間取り図を見たときは、不安よりも感動が勝って「早くこの家に住みたい!」と思うもの。
ところが間取りを眺めているうちに、ふと「ココがなんか…」とイメージと違ったり、疑問に思うところが出てきて次第に「こっちも、あっちも。あれ・・・なんか全体的に微妙かも」と、疑心暗鬼に陥りがちです。
そんなときに「間取り相談 1回○万円」というサービスを目にしたら利用したくなりますよね。
一生に一度の買い物を後悔しなくて済むなら、数万円払うことは惜しくないよね!
そう思う人が多いのも当然と言えば当然かもしれません。
そんなことから利用者が続出しているようですが、間取りの不安を解消するための方法はたった一つしかありません。
それはビルダーと納得のいくまで対話することです。相談相手は第三者ではありません。
間取りの打ち合わせは、100点の間取りに近づける作業
そもそも家づくりは建主とビルダーとの二人三脚で、双方の対話によって良い家づくりになるものです。
設計担当や営業担当と打ち合わせを重ね、1回目の間取りよりも2回目の間取り、2回目の間取りよりも3回目の間取りと、回数を重ねるごとにレベルアップしていきます。
間取りの打ち合わせは、1stプランからのビルダーの提案に、建主の実際の暮らし方を反映させ、打ち合わせごとに100点満点の間取りに近づけていく作業になります。
第三者に相談する時点で家づくりは失敗している
仮に間取りの不安を感じたとき、担当者との対話よりも先に第三者への間取り相談が浮かんでくる場合、その発想の時点で「ビルダー選びに失敗=家づくりに失敗」しています。
「間取り相談」したときは満足できるかもしれませんが、それはその場限りの解決方法です。
それ以降、現場を見に来てくれるわけでもなければ、不意に感じた家づくりの疑問に応えてくれるわけでもありません。
結局のところ家づくりは建主とビルダーの二人三脚になるので、そこに信頼関係が構築されていなければ良い家づくりとは言えません。
ビルダーの提案に不安を感じて第三者を頼る時点で、そもそもビルダー選びに失敗していると言っても、決して言い過ぎではないのかと思います。
間取り相談|間取りを組み替えるだけ
土地を見ずに間取りを考えることはできません。
オンラインでの間取り相談は実際に土地を見ることもなければ、ゼロから間取りを考えることもありません。
あくまで間取り相談は、ビルダーの間取りをベースに部屋を組み替える程度のことでしかありません。
現地を見ずに考えた間取りは、趣味の延長
僕も17年注文住宅のビルダーで設計しているので、地積測量図とGoogleマップを見るだけでも設計はできます。
僕もお金を稼ぐ目的で間取り相談することは朝飯前です。なぜならビルダーの間取りがベースにある中で一般ウケしそうな感じでちょっとスパイスを加えるだけで良いのですから。
- 間取り全体のバランス
- 動線計画
- 収納計画
- 採光・通風計画
「相談者が頼んで良かったと思えるアドバイス」はできますが、敷地を見ずにどこの土地でも使える定番のプランを作ったところで、その土地を購入して注文住宅で建てる意味は無いと思います。
現場に足を運んで実際に見てみないと分かり得ない情報はたくさんありますから、それらを無視する計画が本当に良い間取りになるとは思えません。
そういった意味でも間取り相談には意味がなく、やはりその土地の見て提案してくれるビルダーとの家づくりを進めることが大事なんじゃないかと僕は思います。
動線計画や収納計画は平面図だけで読み取ることができますが、設計は平面だけの2次元で考えるものではありません。
間取り相談は必要ない|まとめ
間取りはビルダーからの1stプランで決まることはほとんどありません。
間取りに不安がある気持ちはとっても分かりますが、だからと言って間取り相談を利用するのはナンセンス。
良い家づくりはビルダーと建主さんとの信頼関係のもとで成り立ちます。建主とビルダーが二人三脚で家づくりするのが成功の最短ルートですから、余計な第三者を介入させるのは無駄であると僕は思っています。