【施主支給はリスク大】安くなるとは限らない|メリット・デメリット、施主支給にオススメなのは?
ビルダー経由で買うよりも、
自分で直接買った方が安くてお得じゃない?
と思う人が多いと思いますが、おっしゃる通り建主さん自身で購入する方が安く買えるので、施主支給は建物価格を抑えられます。
ネットで購入すると3%〜10%くらい安く購入できたりする物もあり、施主支給を希望する人も増えています。
建主さんが商品を用意することを「施主支給」と言います。
僕たちビルダーは施主支給された物を取り付けするだけです。
とはいえ
「安く買える=お得」ではありませんので僕は施主支給をオススメしません。
- 施主の手間がかかる
- 別売品の用意を忘れがち
- ビルダー保証の対象外
- 安くなった以上の出費リスク
本記事では施主支給のメリット・デメリットと施主支給に向いてるものを詳しく解説します。
目先の費用を抑えることも大事ですが、もっとも見るべきポイントは長い目で見てお得かどうかです。
施主支給によって損することがないように、ぜひ最後までご覧ください。
この記事はこんな僕が解説しています▼
- 2006年から注文住宅の会社に勤務
- 土地探しから間取提案、引渡しまで一貫した実務経験
- 営業、設計、現場監督をしている現役建築士
詳しいプロフィールはこちらからご覧ください!
施主支給|メリットは安いだけ
まず施主支給のメリットから。
・・・と言っても施主支給のメリットは安いだけです。
ポイント還元できるネットショップもあったりでお得に購入できますね。
施主支給|デメリットはたくさんある
僕が施主支給をオススメしないのは、
メリット以上にたくさんのデメリットがあるからです。
手間がかかる
何よりもまず、めんどくさい。
施主支給は手間がとってもかかります。建主も、そして僕たちビルダー側も。。。
アクセサリにしても照明器具にしても、素人目には取付け可能かどうかの判断なんてできませんよね。
- それを固定するための下地は入っているのか
- 似たような商品でもこっちとあっちで何が違うのか
- このペンダントライトを付けたいけど、引掛シーリングの形状は問題ないか
建主さんはこれらを調べるのにも手間がかかるし、分からないことだらけだから僕たちビルダーに確認することになります。
質問と回答のラリーが何度も続いたりで、一つの商品を選ぶだけでも想像以上に労力を費やすことになります。
商品の傷や不具合を確認するのがビルダーの仕事でもあります。
これが品質管理で、現場監督の仕事の一環です。
施主支給の場合、届いた商品に傷や不具合がないのか検品することになるのは建主さんです。商品の梱包をバラして、検品してから現場に届ける流れになるので単純に手間がかかります。
- 段ボールの梱包を解いて商品を確認
- 異常があれば販売元に問い合わせ
- 異常がなければダンボールに梱包し直し
- 現場に届ける。
施主支給ってここまでやらないといけないの?
重たい商品ならもっと大変ね。
ビルダー保証の対象外
不具合が起きたって、
商品の保証があるから安心だよね。
と思いがちですが、あくまでネットショップの保証は商品に対してだけです。
商品自体を無償で交換できたとしても、工事が発生する場合は商品の脱着費用はかかってきます。
照明器具の交換は電気工事士の資格がないと作業できないし、水廻り機器なら工具が必要で給排水の接続なんてとうてい素人にはできません。
- 故障した器具を取外すのに費用がかかり
- 新たに用意した器具を取付するにも費用がかかり
費用が二重にかかるのが施主支給のデメリットです。
ビルダーに商品も取付も合わせて工事を依頼していれば無料で修理・交換してくれたはずが、施主支給によって余計な費用が発生してしまうケースもあります。
工事中は施主支給で安くできたと思っても、住んでからの不具合によって思わぬ出費が伴うこともあるんです。
新品でも意外と不具合起こりがち
電気屋さんから「照明器具を繋げてみたら点灯不良を起こしてるから器具交換しますね」とか、
設備屋さんからは「水栓のパッキンが甘くて水滴が止まらないから水栓交換しますね。」なんて言われることがあります。
新品だから大丈夫だろうと思いきや、意外とそうでもないんですよね。
トータルでは安くならないこともある
こんな洗面ボウルを使いたい、そんな人もたくさんいると思います。
洗面ボウル(陶器)は排水金具とか排水トラップが必要になりますが、たいがいそれはセット商品ではなく別売品になってることがほとんどです。
洗面ボウルを支給するときに必要なもの
- 洗面ボウル本体
- 排水金具
- 排水トラップ
これらはそれぞれの洗面ボウルに対応する部材が用意されているので、なんでも合うわけじゃないんです。
だから洗面ボウルを購入するときは一緒に購入する必要があるんです。
洗面ボウルを支給する場合は
それ以外にも必要な部材があるのね。。。
住宅に使用する物は「あの商品とこの商品を合体して使う」なんて物が多々あります。
施主支給のときは別売品を含めたトータル費用で比較する必要がありますね。
取付け時期までに商品が揃っていなければ追加費用が発生する場合があります。
商品が無いと職人さんが二度手間になったり、工事がストップすることになりかねません。
引き渡しに間に合わないこともあるので不足部材がないか要注意ですね。
自分で用意した方が全然安いと思ったら
ビルダーの費用は全部込み込みの費用だったのね
・・・とほほ。
- 運賃を含めたら施主支給もビルダー支給も変わらない
- 税込価格と税抜価格の違いでネットの方が安いと勘違い
たまに勘違いされる方がいるのでご注意ください。
こんなはずじゃなかった、がある
僕たちが実務で気を付けているのが「イメージと違う」を防ぐことです。
長い期間家づくりに携わる仕事をしていると「イメージと違う」と建主さんに言われた苦い経験があるものです。
サンプルで確認したのに現場で実際に見ると「イメージと違う」なんて言われることもあります。
サンプルでもこんなことがあるのに、ネットの写真でイメージするのは難しいと思います。
通販サイトでは見栄えの良い画像を載せていたりもするものですからね。
実際に建主さんが購入したものがイメージと違ったということは少なくありません。
- 真っ白な陶器だと思ったらマーブル調だった
- ツルツルな仕上がりだと思ったらザラザラだった
- 小ぶりだと思ったら意外と大きかった
クローム、真鍮、ステンレス、サテンニッケル、メラミン、MDF・・・
僕たちプロは材質を聞くだけである程度仕上がりが想像できます。
「安いから」が理由なら施主支給は避けるべき
施主支給は手間がかかるだけでなく思いがけないリスクが潜んでいます。
- 支給する商品の取付け可能かを調べたり
- 荷受・検品・現場までの配送が必要だったり
- 納期が間に合わなくて工事が遅れたり
- 商品の不備などのせいで手戻りが発生し追加費用が請求されたり
- 商品の不具合は基本、自分で販売元に連絡して対応してもらったり
施主支給で不具合が生じたときは、商品が悪いのかそれとも施工が悪いのか、責任の所在がハッキリしません。
おそらく最初はビルダーの方に連絡することになると思います。ところがビルダーの施工に不備がなければ商品の問題になります。
労務費は建主さんからいただくことになります。
販売元に問い合わせしたところでスグに修理・交換をしてくれるとは限りません。
「検品してますからビルダーさんにもう一度確認してもらってください」と言われてしまえば、素人の建主さんはビルダーと販売元との板挟み状態です。
建主さんが購入できるものは、だいたいビルダーでも購入できます。
ビルダーに材工で頼んでいたら無料で交換できたのに、施主支給で外れの商品が届いたばかりに手間代を請求されることになります。
結局のところ、ネットで安く買えるけど何かあったときは余計な出費がかかり、高くついてしまうケースが多いです。
少しでも費用を抑えようと思うと目先の費用ばかりに目を向けがち。
施主支給のせいで後悔している人がいるということもお忘れなく。
施主支給のルール|良いもの・悪いもの
デメリットの多い施主支給ですが、全部が全部ダメだと言ってるわけではありません。
施主支給を上手に活用すればリスク0でコストを下げることができます。
僕は施主支給を希望する人に次の3つのルールをお願いしています。
- 自分で交換できる物なら支給OK
- 半永久的に使用できる物ならOK
- 自分じゃ交換できない物なら支給NG
上記の3つを守ってもらえれば、施主支給で失敗することはありません。
たとえばどんな物?
と思った方のために、具体的に施主支給に向いてる物・向いてない物をご紹介します。
施主支給OKな物
- 照明器具(ランプ交換可能なタイプ)
- タオル掛け、紙巻器
- 建具のつまみ(製作建具の場合)
- などなど・・・
これらはプロじゃなくても簡単に交換できます。
自分で交換できるなら施主支給のリスクはありませんので、安く買えるならどんどん施主支給にしてもらって構いません。
半永久的に使用できるもの
半永久的に使用できるものとして内装材が挙げられます。
- タイル
- クロス
- 化粧フロア
- CFシート
- などなど・・・
一度施工してしまえば半永久的です。
クロス屋さんや表具屋さんから、材料の支給はNGとお断りされる場合もあります。
内装材の支給を希望する場合はビルダーにご確認を。
施主支給NGなもの
- 電灯配線に直結タイプの照明器具
- 水廻り機器(ユニットバス・トイレ・キッチン)
- 食洗機
- ボイラー
- などなど・・・
これらはトラブルになりがちなのでNGです。
ビルダーは「施工は悪くない、商品が悪い」と言っても、販売元は「商品は悪くない、施工が悪い」と、責任の所在が分からなくなる場合があります。
施主支給の流れと注意点
施主支給はビルダーによってできるできないがあります。
もし施主支給する場合の流れと注意点をお伝えします。
- 早い段階で施主支給の希望をビルダーに伝える
→支給OK・NGの確認、用意する時期の確認 - 納期に間に合うように手配する
→海外製品は納期が数か月かかる場合があるので要注意! - 施主が商品の受け取り
→検品・傷チェック。商品に不具合があればすぐ販売元に連絡 - 工事の日程を確認してビルダー指定の日程で現場にお届け
上記の流れになります。
一番大事なことは工事に影響が出ないように早めに手配することです。
半導体不足で納期のかかるものが多いです。余裕を持って手配しておきましょう。
施主支給のまとめ
施主支給のメリットは安く買えること。
ポイント還元などを上手に活用すればさらにお得に購入できますね。
物によってはビルダーが用意するより1割くらい安くなります。
とはいえ安くなるからと言う理由で何でもかんでも施主支給はNGです。施主支給にはリスクがあるからです。
- 商品を理解しないまま選んで、取り付けできない場合は無駄金です。
- 保証があるからといって安心できません。商品は無料で修理・交換できても、職人さんが器具を取り外したり、再度取り付ける費用は別途請求されることになります。
必ずしも施主支給がお得になるわけではありませんのでご注意を。
とはいえ自分で交換すれば費用はかかりません。
施主支給にオススメなのは、自分で簡単に交換できるもの・半永久的に使用できる物(内装材)ですね。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございます。